2009年06月28日

今日は雨の日のかたつむり

これまでお世話になった方や、
映画制作の過程で力を貸してくださった方々へ、
報告と感謝をこめて試写会を行ってきました。
その試写会も30日の一回を残すのみとなりました。

延べにすれば300名近く、


さまざまな立場の方に観ていただきました。

シナリオからよくご存知の方、
ボクたち兄弟のことを昔から見守ってくださっている方、
舞台をやっている頃からみにきてくださっている方、
また映画についてまるきり予備知識もなく来てくださった方、
そうした方々から、
本当にいろいろな意見を伺うことができました。

「すごく感動した」「何が云いたいのかわからない」
「何かが残ってしまい、もう一度観たい」「売りにくい作品」…
人それぞれの感想があって、
作品というのは作ってしまうとあとはお客さんのもの、
ということを実感しました。

もちろんボクたちとしては、
一人でも多くの方に観ていただきたいし、
正直な話、もうけることはできなくても
かかったお金は取り戻したいと思います。
しかし、いざビジネスということになると、
難しい問題が山積みになっていることも、
これまでの試写会で浮かび上がってきました。

ある部分、想像をしていた通りでしたし、
予想外のこともありました。
これからのことを考えると、
どれも逃げることのできない問題で、
ここ数週間、ちょっとブルーな気持ちでおりました。
一日でも早い公開をしなければという思いと、
採算をとるベースにのせることができるかという不安が
僕の中では逃げられない大きな影となって、
毎日そのことで憂鬱になっていたのです。

ところが、
先日まったく違う場面、人から
同じ話を伺うことがありました。
その一人はいつも相談にのってくださる臼杵さんというかたで、
以前ブログでも紹介しました。
実業の世界に長く身を置き、
さまざまな成功や失敗を重ねて、
いまボクたちの相談役をしてくださっている方です。
今年64歳になられた臼杵さんに、
ぼくはいまの胸中を明かしました。
臼杵さんは過去、苦しかった時期に、
ある世界的な企業を経営されている方から
こんな言葉をいただいたそうです。

 「お金をもうけようとして作った会社はお金でつぶれます。
  でも『志(こころざし)』を持って作った会社は、
  お金で苦しんでも、絶対につぶれません」

そういわれた臼杵さんは、しかし、

 「あなたは成功しているからそう云えるんだ」

と、思ったそうです。

 「資金繰りで苦しんでいる自分は、当時その言葉を受け取ることは
  できませんでした。でもね、この年齢になって、はじめてその言
  葉の意味がわかったんです。
 「志は自分のなかの一番大切なものです。それがすべての原動力に
  なっています。その志さえあれば、たとえ失敗しても必ず、
  立ち上がりまた前へ進むことができるんです」

ぼくは頭を殴られたような気持ちになりました。
目の前の現実にあたふたして、
たしかに大切なものを見失っていた気がする。
映画をつくって、見せなきゃ、お金を稼がなきゃって気持ちばかりで、
映画をなぜつくろうと決意したのか、
なぜこの道を進もうと決心したのか、
一番大切であったはずの『志』を忘れていた自分を見ました。

 「いいですか、監督。成功も失敗も、ぜんぶ自分のここに
  あるんです」

臼杵さんはそういって、自分の胸をさしました。

 「幸せも不幸も外にはありません。全部、自分の中にあるんですよ」

その瞬間、
ぼくは憑き物がおちたように心が軽くなりました。
そうだ、すべて自分のなかにある。
成功も失敗も、心地よさも悪さも、不幸も幸福も、
すべて自分の中にしかない。
その心をどんな局面になっても、強く支えてくれるものは、
『志』という信念と希望しかないのです。

忘れていた『志』。
ぼくの志がなにかは、恥ずかしくって人にはいえませんが、
いまもう一度、自分の中を振り返って、
『志』を見つめ直そうと思っている今日の休日です。

今、外では雨が降っています。
こんな日は、自分を見つめ直すにはいい感じ。
かたつむりを自称しているぼくには、
恵みの雨ですわ。
posted by che Katsuto at 14:52| 東京 ☀| Comment(3) | TrackBack(0) | 配給・宣伝活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
監督さん こんにちは♪

監督さんの周りには その時々
必要な その瞬間に 適切なアドバイスを
示してくださる素晴らしい方たちが
いらっしゃるのですね〜
「志」…いい言葉ですね
(声に出して言ってみると いろんな感情が
 わいてきますね)

全部 自分の中にある 
本当にそうですね

私の休日も 有意義なものになりました
ありがとうございます






Posted by きんきん at 2009年06月28日 17:15
いま「ショーシャンクの空に」のフランク・ダラボン監督は「華氏451度」のリメイクを用意しているようですが、どこの映画会社でも「大衆向きではない」という理由で出資を断わられているそうです。あんな名監督でも、企画したものが蹴られる時代…自身の夢をかなえるには志を高くもち、打たれ強くなくてはいけません。映画は金がかかる商売ですが、なんとかアイディアで乗り切っていきたいものです。ダラボン監督の企画も通ってほしい!
Posted by 遊山 at 2009年06月30日 18:23
>きんきんさん
人生の先輩って、本当にありがたい存在です。やっぱり、うんちくのあるアドバイスをいただけます。
そういう方がそばにいてくださるだけで、ぼくは幸せだと思います。

>遊山さん
企画を通すのは、どんなにエラくなっても大変なんですねえ。
最近は「市場原理」という言葉がお題目もようになってしまい、それが正しく正義である、みたいな風潮があります。でも、ぼくはどうもその原理が嘘っぽく思えるようになりました。映画に巨額の投資をし、短期で稼ぐことが目的化し、観客を金づるのようにしか思っていないのではないか、と思えるのです。
それを「市場原理」と云う言葉で正当化して、受ければいいのだという企画の読み方が映画会社、製作会社に蔓延しているのではないか、と感じてしまいます。
だったら、牛車に歯向かう蟷螂の斧、で棹さしてみたい、とついあまのじゃくな自分が現れてしまいます。
ほんと、馬鹿ですね。

Posted by che cobara at 2009年07月02日 01:04
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